ネ!!
Merry Christmas!
名は山せみ
せいろ一枚750円からなので高級の部類に入るだろう。
まずは一杯、伊達は一の蔵を冷で一合。肴は蕎麦味噌焼。
司馬遼太郎の竜馬がゆくを片手に酒が回る。
もう一合追加し、酒盗おろしで舌鼓を打つ。
酒が余ったので今が旬、銀杏の塩煎りを頼む。かんかんに煎られた天塩に殻が焦げた銀杏が埋まって出された。
〆は蕎麦。辛味大根せいろを二枚。
鼻をつく辛味が辛口のかえしとあいまって珠玉の風味となる。
(かつて働いていた蕎庭のそれと並ぶな)
負けじ劣らずの味に感心すると、竜馬は土佐から脱藩していた。
誠、御馳走であった。
そこには小さな部屋があり、ブラインドと換気扇からのみの光がベッドの薄汚いシーツを赤く染めていた。
冷蔵庫のビールを飲もうとベッドの脇を通ると、三年前に別れた女が三年前のまま裸で寝ていた。
そしてその女と三年ぶりに寝た。
事が終わると、ビールを持ち窓際に来る。女はベッドで天を見上げ、黙っていた。
窓を空けると新宿が見えた。街の喧騒と生ぬるい外気が入り込んできて、理由なんてどうでもよくなっていた。
ただそう答えた時、外では猫が発情していた。