一泊二日の山梨出稼ぎの旅も間も無く終わろうとしている。
思えば昨日の朝早く家を出て、高速で山梨入り。長芋の畝を鍬で三本。社長に曲がっているなどと言われ、曲がったって芋は育つっつーの…と小声でぼやいたら「そろそろお昼にしましょうか!」
…憎めない。
そしてその晩、山梨市は岩下温泉に一泊。なんでも県下一古く、1700年も前からい出てているとゆう。
湯婆婆でもいそうな旧館浴場。
サッパリした湯質ながら温まる。
浴衣に下駄を鳴らして新館に帰ると社長が既に夕食を食べに下に降りて来ていた。
山梨と言えばほうとう。いつか自分で訪れたときに食べたほうとうは不味かったがこの旅館の料理はほうとうをはじめどれも美味かった。
酒も二人で一升は食らったか。
疲れているためか倒れそうになり部屋に戻る俺。
何のために温泉に来たのやら…
そう思って呂律の回っていない社長の話相手をテキトーにしていると、社長がマッサージを頼んでくれと言う。
しばらくして初老の女性が入って来た。
「クワタ君!君からやっちゃいなさいよ」
社長!イワタです。なんて言う元気もなく、なすがままに揉まれた。これがなんとも気持ちいい。
あぁ〜温泉にはいってタラフク旨いものと酒呑んだし、しかもマッサージ付なんて、きてよかったか。
そう納得し出していたら社長と女性はとてつもない猥談で盛り上がっていた。
また疲れて来た。
気がつくと朝だった。
早めに宿をでてまた農作業に励む。
本日社長は別件での作業には不在。
午前中の畑への鶏糞播きを一時終え、独りポカーンと縁側に腰を落とし昼飯を食べていた。
暇だからミクシーみてみると高校の友達からミクシー内で俺を発見してわざわざ連絡してくれたようだ。
嬉しい事よ。
一年の時同じクラスなだけなのに。
その娘の写真撮ったなぁとか、その娘は俺の手が好きだったなぁとか、嬉しくもセンチメンタルな気分で縁側にいた。
でも元気が湧いて来て、さぁまた鶏糞播くか!とスコップで空高く鶏糞を飛したところ、
突風がピュ〜〜
ハイ、俺糞塗れ。
人生は苦楽の連続である。
そんな事を考え、特急かいじは新宿に急ぐ。
嗚呼風呂…